あくまで法律のはなし

なぜか福岡で働くことになった弁護士が、なぜか福岡で独立しなければならなくなったブログ

法科大学院について、いくつか補足

 コナンの感想以外でアクセスが増えていると思ったら、遅ればせながら、法科大学院の記事が河野真樹の弁護士観察日記で取り上げていただいたことに気づきました。

 興味をもって読んでくれた人に向けて、さみだれ的ですが、いくつか補足を。

 

 上記ブログで、「法科大学院出身者は、自らの出身母体として、あるいは、改革への恩恵的受け止め方から、あまり改革について語りたがらない」と指摘されていますが、私自身は、あまりそういう感情はありません。私がその法科大学院を選んだ理由は、返さなくて良い奨学金をもらえたことと、通学圏内だったからなので、あまり出身校への帰属意識みたいなものはありません。また、受験生の立場からすれば、その時の制度に対応して合格を目指さないといけないので、制度に文句を言っても仕方ありませんし、逆に、合格後も、制度改革のおかげで合格できたという感情も湧きませんでした。まあ、合格は改革のおかげではないのかと言われれば、もしかしたらそうだったのかもしれません。試験の成績は500番以内でしたが、合格者を増やしたことで、滞留していた優秀層がどんどん合格して抜けて行ったわけですからね。しかし、逆に、そうでなければ合格できなかったという根拠もありません。所詮、試験の順位なんて水物です。

 

 それと、法科大学院の講義内容ですが、選択科目の労働法はすごく役に立ったし、教授にはメチャクチャ感謝しています。ただ、選択科目については、新司法試験になって追加された科目だったので、それまで勉強したことがありませんでしたから、自学自習と比較することはできません。独学だと合格できなかったとは考えられませんし、そもそも、教授の方針で、ほかの科目に比べて、かなり受験特化の講義だったという事情はありました。

 

 最後に、私は、司法試験合格者を増やせば、法科大学院を廃止しなくても、ある程度、志願者は回復すると思っています。この点については、資格価値下落が原因で、合格者を増やすのは逆効果だという意見もあります。たしかに、合格者を増やせば増やすほど、弁護士間の競争は激化して、資格の価値は低下しますが、志願者は、資格の経済的価値を正確に計測して進路を決めているのではなく、ある程度漠然としたイメージで決めている部分があるはずです。すでに「資格を取っても食えないかもしれない」というイメージは固定したので、これ以上、資格の価値が下落しても、更なるイメージダウンは限定的です。これに対して、志願者減少は、下落した資格の価値と比較して、法科大学院が重すぎることが原因なわけですが、それには、当然「不合格のリスクが重い」というのも含まれています。制度を廃止しない限り、時間や金の負担は解消できませんが、不合格のリスクだけでも解消すれば、多少なりとも、天秤の片方が軽くなるわけですから、志願者は増えると思っています。

 よく「旧司法試験は、合格率が3%とかでも、志願者が沢山いた。志願者減少は合格率が理由ではない。」とか言われることがありますが、法科大学院という制度を前提とする限りにおいて、合格者を増やすのは、志願者回復への早道だと思います。