今後、司法試験がどうなるか予測してみた

横浜国立大学法科大学院が、平成31年度入学者の募集を停止しました。

www.nikkei.com

調べてみると、平成30年度の入学者数が9人しかいなかったらしいので、当然といえば、当然かもしれません。しかし、そうなると、同じく10人未満しか入学者がいない法科大学院は、今後、募集停止に動く可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。

残っているのは、近畿5人、愛知7人、南山6人、西南6人、金沢7人の5校のようです。この辺のデータは、こちらのブログSchulze BLOGに詳しくまとめられています。

さて、今後、法科大学院は、そして、司法試験はどうなっていくのでしょうか?ちょっと考えてみました。司法試験関連の他ブログに比べると、分析というレベルにも達していませんが、お許しを(笑)

法科大学院入学者は1500人くらいに落ち着くのではないか

法曹志望者自体が減少しており、法科大学院の入学者は毎年100人規模で減り続けてきました。そして、まだ募集停止が予想される法科大学院が残っており、もう少し定員が減ると思われます。したがって、法科大学院入学者数は、まだ減ると思います。

しかし、残りの不人気校が淘汰されても、他の法科大学院がある程度は吸収するでしょう。また、資格の価値が下落しても0にはならないので、欲しがる人は一定程度確実に存在するはずです。

したがって、入学者数の減少は、1500人程度で落ち着くのではないかと予測しています。

司法試験の合格者数は1200人程度が続くのではないか

6月4日付の日経新聞の記事では、企業の需要が増えているから司法試験の合格者を2000人に戻すべきだと主張するものがありましたが、もはや現実的ではありません。

まず、平成30年度の法科大学院の入学者が1600人ほどです。次に、予備試験の合格者は450人ほどですが、法科大学院在学生が100人くらいを占めますので、実質的には、予備試験から供給されている受験生は350人(しかもこのうち50人は法科大学院卒業生なので、一度受験資格を喪失した者と思われます)ほどしかいません。つまり、毎年排出される受験生は1950人ほどです。

もちろん、司法試験出願者には、昨年までに合格できなかった浪人生が含まれるわけですが、1年で生み出される受験資格保有者が1950人という規模で、司法試験合格者2000人が現実的でないのは、常識的に考えれば理解できるでしょう。(もちろん、2回目、3回目で合格している人もいますが、年間で生み出される受験資格者を超える人数を合格させていけば、いずれ受験生が足りなくなります。)

法務省が発表している短答式試験の結果を見てみると、いずれかの科目で40%未満の点数を取った者は不合格とされており、これは、要するに、「箸にも棒にもかからない」レベルの受験生と言ってよいでしょう。これに、途中退席者を加えると、実に、出願者の10%程度は短答段階ですでに論外という計算になります。1950人中195人は論外と考えると、残りは1755人です。

次に、論文の結果をみてみると、いずれかの科目で最低ライン(素点の25%)未満の成績で不合格になった人が343人おり、これは、出願者の5%程度なので、1950人中5%の100人程度は論文で最低点すら取れない者という計算になります。

つまり、1950人-195人-100人=1655人。これが、司法試験において、実質的に競争に参加する人数です。そして、1655人では、合格者を90%出して、ようやく1500人程度の合格者になります。ある程度、選抜機能を持たせた状態で司法試験合格者数を決めるなら、昨年までの不合格者がいることを考慮に入れても、1500人を維持し続けるのは無理でしょう。

そこで、法科大学院を維持するために一定の合格者数を確保しつつ、司法試験の選抜機能も維持して、ある程度恒久的な制度として存続させるには、1200人というのが穏当な線ではないでしょうか。

一部の弁護士は、司法試験合格者を1000人以下に減らすことを主張していますが、市場競争を是とする昨今の政治潮流からすると難しいでしょう。また、もともと3000人を目標にしていたのに1000人以下に減らすとなると、司法制度改革の全否定を意味するので、政治的には無理だと思います。(ただし、志願者が予想以上に減少して、物理的に1000人も合格させられなくなるという可能性もゼロではないと思います。)