あくまで法律のはなし

なぜか福岡で働くことになった弁護士が、なぜか福岡で独立しなければならなくなったブログ

人が死んだら自動的に相続が発生する

弁護士「亡くなったお父さんは持家でしたか?賃貸でしたか?」

相談者「持家でした。でも、私は相続しませんでした。母が相続したはずです。」

弁護士「遺産分割協議書に署名押印した記憶はありますか?」

相談者「いや、そういった記憶はありません。」

弁護士「お母さん名義に変えるのに、司法書士に依頼した記憶はありませんか?」

相談者「いや~、どうだっただろう・・・。」

弁護士「だとすると、実家は、あなたとお母さんの共有状態かもしれないですね。」

 相続は、人が死ぬと自動的に開始します。

⇒相続は、死亡によって開始する(民法882条)。 

 そして、相続が開始すると、相続人は自動的に遺産を承継します。

 これを「遺産共有」と呼んでおり、遺産分割までの間の暫定的な共有状態です。

⇒相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(民法896条本文)。

 相続人が複数いるときは、遺産分割協議によって、遺産を分けることができます。

⇒共同相続人は、・・・いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる(民法907条1項)。

 

 たとえば、不動産等を遺産共有状態のまま放置しておくと、そのうちの一人が破産した場合、その人の資産として計上されてしまう等の不都合が生じることもあります。

 また、相続人の一人が死亡し、更にその配偶者や子供たちが相続すると、相続人がどんどん増えて行き、しかも、核家族化により、お互いに交流がないということになると、遺産分割協議もままならないという事態が生じる可能性もあります。 

 

 ところが、遺産分割には期間制限がなく、相続人間に利害の対立がない場合は、亡くなった人名義のまま放置していても、特段困らないことも多いので、遺産分割がなされないまま、長年経過しているというケースも多いのです。

 それ以前に、相続というのが自動的に開始するものということを知らない人もいます。「自分は何も貰わなかったから相続していない。」と考える人は珍しくありません。

 私としては、こういったことは義務教育で教えておくべきだと思います。