新卒の採用活動は完全自由化で良いのではないか

 経団連会長が「経団連が採用の日程に関して采配すること自体に極めて違和感がある」と、就職活動日程のルールを撤廃すべきという考えを示して話題になりました。

 経団連としては、経団連に加盟しない企業は、早期の採用活動で優秀な学生を囲い込むことができるため、ルールを順守する企業が採用に出遅れるのではないかと危機感を持っているのでしょう。

 

 基本的に、個々の企業の問題である採用活動について、経団連という民間団体が采配することに根拠はないと思います。

 たしかに、ルールがなければ、優秀な学生の採用は早い者勝ちになるため、どんどん就活が前倒しになり、学生の学業に支障が出るという意見もあります。

 しかし、学生の勉学は、学生の個人的事情であり、企業が配慮すべき事柄ではないと思います。それによって、学生が勉学を疎かにすれば、社会的な損失ではありますが、その損失を発生させている責任は企業だけにあるのでしょうか。

 仮に、大学が、勉学を疎かにした学生を卒業させなければ、企業は、前倒しで採用活動をするでしょうか。実態として、就活に現を抜かしていても卒業できるからこそ、企業は前倒しで採用活動をするのでしょう。

 また、仮に、大学における勉学を企業が評価していれば、前倒しで採用活動をするでしょうか。大学の後半という本格的に勉学をすべき時期に就活している学生よりも、4年間みっちり勉強した学生を採用しようとするのではないでしょうか。

 つまり、結局のところ、大学にも責任があると思うのです。必ずしも、「勉学を妨げる」などと企業を一方的に非難できる立場ではないでしょう。

 

 それに、新卒一括採用という慣行にも、ずっと以前から批判があるところです。

 大企業は、いまだ優秀な若者を早期に囲い込みたいようですが、その慣行がいつまで維持できるか分かりません。もうそろそろ難しくなってくるのではないでしょうか。

 少子化によって、若い世代の人口は減り続けています。優秀な人材を確保するのに、職歴のない新卒者だけをターゲットにするのでは足りない時代が来ると思います。

 そうなると、どの企業も、通年採用を検討せざるを得ません。すでに、そのような方針転換をしている企業も多いはずです。

 そもそも、経団連加盟企業が、採用ルールを順守しなくて良い非加盟企業に出し抜かれることを心配して、採用活動を早めたいと考えるのは、採用市場において、経団連加盟企業の競争力が相対的に低下しているからに他なりません。

 学生側は、少しでも良い企業に就職したいでしょうし、優秀な学生であればあるほど、将来のキャリアを真剣に考えているでしょうから、経団連加盟企業に魅力があるなら、少々採用活動が遅くなろうと、学生に選ばれるはずなのです。

 経団連の採用ルールといっても、大学在学中に採用活動を開始することには違いなく、大学の学業との関係では、決して遅いスタートというわけではありません。それをさらに早めなければ、優秀な学生を外資などに取られてしまうというのなら、それは、採用時期云々以前に、採用市場における企業側の魅力が低下しているということでしょう。

 つまり、就活ルールを撤廃したところで、それらの企業が、今後も旧態依然とした新卒一括採用を継続し続けらえる可能性は高くないと思うのです。

 そうであれば、就活ルール自体、もう廃止してしまっても良いのではないでしょうか。